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2015.12.02

【特集】『Apple Pay』の日本上陸は?~オリエントコーポレーション編~(2015年1・2月号)

 

NFCの先駆者はApple Pay市場も先導
日本の決済システム、決済文化と共存へ


NFCの黎明期から、カード業界における同分野のパイオニアであり続けるオリエントコーポレーション(オリコ)。「Apple Pay」の国内展開においても、同社はシステムやサービス内容、セキュリティ、そしてビジネスモデルに関して、いち早くアウトラインを示そうとしている。オリコには、個社としての対応に加えて、業界共通のテーマとして、現時点で見えている決済ネットワークの形と運用方法、必要とされるシステム開発や課題を聞いた。

 

 

Apple Payは「海外取引」 運用のカギは国際ブランド

 「Apple Pay」の決済は、EMVCoが仕様を定めているEMVコンタクトレス(payWave,PayPass,Expresspay)およびEMVペイメントトークナイゼーションがベースとなっている。これまでのモバイル決済と異なり、16桁のカード番号(PAN)を「トークン」に置き換えて扱う。当然ながら、決済ネットワーク側も「トークナイゼーション」への対応が必要だ。この技術のポイントは、PANとトークンを変換する機能(トークンサービス)をどこに置き、どう運用するかにある。
 EMVCoの仕様書には、決済ネットワークである国際ブランド、あるいは決済ネットワークに接続されたトークンサービスプロバイダーを利用する案が提示されており、米国ではビザ、マスターカード、アメリカン・エキスプレスが自らトークンサービスを提供している。セキュリティの要であるトークンサービスは、高度で堅牢な安全性と24時間365日の安定したサービスを維持する必要があり、国際ブランドが自ら提供するという選択は正しい。
 日本でのサービスも上記の米国での仕様を踏襲する方向にあるが、カード取引のネットワーク形態が異なるため、同じ方法での運用はできない。一般的に、加盟店でカード決済が発生すると取引電文はアクワイアラ(加盟店管理会社)を経由してイシュア(カード発行会社)に送られ、オーソリ(与信照会)や売上確定処理が行われる。この際、米国ではアクワイアラ・イシュア間のやり取りに、国際ブランドのネットワークが使われる。
 一方、日本では国内のイシュア・アクワイアラ間で取引が完結する場合、大部分の取引は国際ブランドのネットワークが使われない。つまり、国内取引の際にブランドのネットワークから提供される機能・サービスは利用できない。
 それを解決するのは、国内取引も海外取引と同様に国際ブランドのネットワークを活用する方法だ。国内で海外発行のカードが使われると、アクワイアラはビザやマスターカードなどに仕向けるが、トークンもこれと同じルートに乗ることになる。

 

既存システムへの影響はない 日本固有の決済との共存は?

オリエントコーポレー ション  顧客営業推進グループ  CRM開発推進部 課長 島田武明氏
オリエントコーポレー
ション
顧客営業推進グループ
CRM開発推進部
課長 島田武明氏

 「トークナイゼーション」の導入に際し、国内取引についてもブランドネットワークを活用する方式の利点について、オリエントコーポレーション 顧客営業推進グループ CRM開発推進部 課長の島田武明氏はこう説明する。
 「トークンを使う際は、既存のシステムがそのまま利用できます。そもそもトークンはPANと同様の番号体系をもっていますから、加盟店やカード会社のシステム、CAFISやCARDNETなどの決済ネットワークも改修は不要。加盟店端末のEMVコンタクトレス対応を除けば、基本的に新たなコストは発生しません」
 システムの負荷による遅延などの影響もほとんどないという。若干のシステム改修が行なわれるとしたら、国際ブランド側の仕様だろう。これまで、国内取引の大部分はブランドのネットワークは通さずに取引されており、日本の仕様に合わせた作りにはなっていない。
 国際ブランドによっては、日本のカード会社間でブランドを介してデータを送信した際の精算処理(インターチェンジ)や、利用加盟店の漢字表記などの面で整備も必要になる可能性もある。

オリエントコーポレー ション  執行役員  顧客営業推進グループ 個人金融 クレジットカード担当 山口 朗氏
オリエントコーポレー
ション
執行役員
顧客営業推進グループ
個人金融 クレジットカード担当
山口 朗氏

 オリエントコーポレーション 執行役員 顧客営業推進グループ 個人金融クレジットカード担当の山口 朗氏はこの点について、「大きなハードルではない」としつつも、「文化の違いの吸収が必要」と指摘する。その一つが、アクワイアラとイシュアが同一の“オンアス取引”。
 例えば、オリコの加盟店でオリコカードが使われた場合、取引はCAFISやCARDNETおよびオリコのネットワーク内で取引は完結する。しかし、トークンを使うケースでは、ブランドネットワークを経由するためオンアスの概念がなくなり、ブランドネットワーク利用料が発生する可能性もある。また、「Japanese Payment Option」と呼ばれる分割払いやボーナス一括払いなど、日本固有の支払方法への対応も課題となる。
 こうした点について山口氏は、「消費者の大多数がApple Payを使うような状況にでもならない限り、ブランドネットワーク利用料の発生は許容範囲です。日本固有の支払方法にしても、あとからリボ等の支払方法変更サービスが普及したため、購入時点で選択されるのは当社では全取引の数%程度。トークンの利用時には未対応でも、それほど影響はないでしょう」と話す。

 

米国では厳密な利用登録 イシュアの作り込みも必要

 もし日本でApple Payのサービスが開始された場合の手続きは、米国ですでに行われている方法を踏襲するものと思われる。登録手順は、「カード登録」と「アクティベート」(カード情報の有効化)の2段階。カード登録の際は、まずiPhoneのPassbookアプリでカードの券面の写真を撮るとPAN、有効期限、カード利用者名が自動的に読み込まれ、それにカード裏面のセキュリティコードを入力すると、その情報はアップルのサーバからブランドネットワークに送られる。日本国内からもカード登録はできるが、現在は米国のイシュアが発行したカードしか受け付けない。
 登録されたカードがApple Payに対応したイシュア発行のものの場合、情報はブランドネットワークを経由してイシュアに引き継がれるが、この段階で厳重な本人チェックが行われるようだ。登録時には、iPhoneの位置情報、IPアドレス、iPhoneをアクティベートした際の登録名などもイシュアに送られる。
 電話による本人確認ではなく、自動的にアクティベートする場合には、ネットワークを提供するブランドが発行するコードが必要で、このコードをイシュアが予め登録されている本人のメールアドレスに送信し、本人がこれを正しく入力するとApple Payが利用可能となる。
 「私が保有しているカードのイシュアのうち、電話による本人確認を必要としないケースでは、6桁の認証コードがeメールで送られてきました。日本では、ブランドが発行したコードを自動的にカード会員のメールアドレスなどに送信するような仕組みはありませんから、この方法を使うとしたら各社がそれぞれシステムを構築する必要があります」(山口氏)

 

国内展開の見通しは? 決済インフラ強化の契機にも
 Apple Payのサービスの開始時期について、島田氏は、「Apple独自に決めることであり、現時点では正式なリリースは出ていませんが、米国の次はカナダ、イギリス、アジア太平洋では、中国、オーストラリアなどが噂されています。EMVコンタクトレスに対応した決済端末が普及していない日本は優先順位が低いと判断されるかもしれません」と話す。
 日本での商用化に際し、アップル側に大きな負担はないと思われる。米国の情報から判断すると、日本のカード会社とApple Payサービスを提供する契約を行うことが第一ステップとなる。ただ、アップルとしてはなかなかサービスが拡がらないという事態は避けたいはずだ。
 「“ニワトリが先か、タマゴが先か”の側面はありますが、Apple PayをきっかけにEMVコンタクトレスに対応した端末が加盟店に拡がる動きも期待したい。この先、流通や小売の大手がEMVに対応する際、欧米同様にコンタクトレス化を図れば一気に進むこともあるでしょう」(山口氏)
 Apple Payのもう一つの効果として、日本の決済環境の機能強化も期待できるという。これまで国内取引では、ビザやマスターカードのネットワークを経由することはなかったため、ブランドが提供する先進的な技術やサービスを使うことが難しかった。例えば、カード決済すると、加盟店名と金額が入った情報がSMSで即時に送られ、不正利用の防止につながるような先進的サービスだ。
 こうした環境整備について山口氏は、「長い目で見ると、国内取引も国際ブランドのネットワークを活用するイシュアのメリットは大きい。安全性と新機能を提供する基盤が育つという意味で、Apple Payが一つのきっかけになると期待しています」と語った。

 

(CardWave 2015年1・2月号掲載)

 

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