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2016.04.27

【特集】 FinTechが示す決済ビジネスの可能性~Liquid編~(2015年11・12月号)

生体認証の世界にブレークスルー
ID/カードレスの指紋決済が実用化

 

生体認証分野の技術開発を手がけるLiquidは、指紋認証を中心に認証・決済ソリューションを国内外で提供している。独自開発の生体認証エンジン「Liquid(リキッド)」は、既存のシステムを大きく超えるパフォーマンスを示し、生体認証の適用分野を拡げつつある。すでにテーマパークや教育機関などで導入が進み、総務省の主導で進められている次世代の認証手法を確立するための実験プロジェクトにおいても、同社の技術が採用されている。

 

 

“総当たり認証”の壁破る100万人から0.05秒で特定

Liquidマーケティング 代表取締役 保科 秀之氏
Liquidマーケティング 代表取締役 保科 秀之氏

 

 Liquidが開発した「Liquid」は、指紋の認証技術そのものではない。コア技術となっているのは“生体認証のための検索エンジン”である。つまり、指紋以外にも、静脈や顔、虹彩などの生体情報を使うシステムに適用できる。
「Liquid」の最大の特長は、多数の登録ユーザーの中から特定の1人を高速で認証できる点にある。従来の生体認証が超えられなかった壁で、これをクリアした画期的なソリューションと言っていい。
 従来の生体認証では、事前に登録されている全ユーザーの生体情報と照合を行うため、ユーザー数が増えれば増えるほど認証に時間がかかるという難点があった。そのため、あらかじめ対象を絞った上で認証を行うのが一般的だ。例えば、銀行のATMに導入されている生体認証は“1対1”。つまり、カードを差し込んでいったんユーザーを特定し、その上で認証を行う。企業の入退室管理などに使われるシステムも、利用者数が多いところではテンキーでIDを入力させるなどして対象
を絞ってから認証するケースがほとんどだ。
 「Liquid」の特長は、この制約を取り払った点にある。100万人分の指紋データから1人を特定するテストの平均値は0.05秒と、ユーザーにタイムラグを意識させないスピードを実現している。
 営業を手掛けるLiquidマーケティング 代表取締役の保科秀之氏は、「われわれの技術は日本人全員、さらには数十億人がターゲット。既存の技術ではまったく太刀打ちできない世界ですが、この領域も少しずつ見えてきています」と語る。

 

カギは「グルーピング方式」クラウド化でカードレスも

 高速化を実現するためのポイントは、検索対象にする生体情報の扱い方にある。指紋認証の場合、通常は指紋データを画像としてそのまま処理するのではなく、6 ~ 8点程度の「特徴点」を抽出して登録済のデータと照合する。既存の技術は照合の際、“総当たり方式”で進めるため、時間がかかってしまう。
 「Liquid」も特徴点を使う部分は同じだが、データ群を「グルーピング」することで、瞬時に検索できるようにした。
 「考え方としては、“絞り込み”をしています。例えば“犬”について何か調べたいとき、いきなり“犬”で検索するのではなく、犬種や飼育法といった、何らかの分類情報を加味した方が適切な情報に早く辿りつけますよね。 指紋認証も同様で、“アーチ型”や“ループ型”などのタイプ別に分ける技術を開発したことで、絞り込みの速度を一気に短縮できたのです」
 この技術のカギである「グルーピング」に際しては、ぼう大なデータからある特徴を見いだす際に有効な「機械学習」と呼ぶ人工知能の手法を用いている。
 もう一つの特長は、生体情報のサーバ管理だ。高速化の実現によって、カードやモバイル端末のメモリに記録していた生体情報をクラウド側に置くことができ、カードレスの決済サービスの実現など、システム設計の自由度も高まった。なお、指紋データは特徴点の情報を暗号化して保存しており、万一センターから流出して解析されても指紋画像は復元できないため、実害は少ないという。

 

 

2本の指を使って認証強化 他人受入率1兆分の1を実現

 現在のアプリケーションは、「決済」と「本人確認」の二つの方向がある。決済は「Liquid Pay」の名で提供されており、大規模な施設では2015年10月、佐世保市にあるテーマパーク、ハウステンボスに前払い式のハウスマネーとして導入された。
 システム構成は、専用アプリをインストールしたタブレットと指紋認証デバイス。タブレットからは、ユーザー登録、残高照会、チャージ、会計の各機能が利用できる。サービスの利用時は、初回に指紋を登録してレジで一定金額を入金しておく。登録とチャージの完了後は、施設内のレストランや土産物店などに置いた指紋センサーに指を置くだけで決済ができる。
 安全強化のため、ハウステンボスに入れたシステムでは、親指と人指し指も使うようにした。一般的に指紋認証は1万回に1回は本人を誤認し、100万人に1人の割合で他人を受け入れてしまう。
 「センサーや検索エンジンの性能というより、指紋の生体的特性に負うところの課題です。指を2本使うと本人拒否率は1,000回に3回程度に上がってしまいますが、他人を受入れる確率は1兆分の1。安全面を考え、他人受入れの可能性を事実上ゼロにして運用しています」(保科氏)
 現在、ハウステンボスをはじめ国内の導入先ではプリペイド式で運営しているが、クレジットカードと紐付けた後払い決済も可能だ。
 運用方法は、ICタグなどをクレジットカードに紐付けて、利用料金を“親カード”と合算するサービスと同様だ。カード以外のツールを使った場合、万一の不正使用に対しては、通常はサービス事業者やアクワイアラがリスクを負う。このあたりの運用ルールについてはクレジットカード会社などとも協議しているが、実用的な決済手段として導入のコンセンサスは得られているという。

 

指紋のパターンを分類する「グルーピング」で従来の生体認証の課題を克服した「Liquid Pay」
指紋のパターンを分類する「グルーピング」で従来の生体認証の課題を克服した「Liquid Pay」

 

 

大学の本人認証にも採用 マイナンバーの置き換えも
 「Liquid」の導入分野のうち決済を伴わない本人確認では、フィリピン国立大学における“成りすまし学生”による不正受講の防止策などで効果を上
げている。
 現状のビジネスモデルとして、「Liquid Pay」の場合は、システム販売と手数料が収益源となる。システムは指紋リーダーとタブレット、アプリを入れて月額2,000円。ここで大きな利益を出すことは期待せず、決済を回すことで発生する手数料を積み重ねていく。プリペイド式は一般にクレジットに比べ手数料が低めに設定されるため、同社も1%を切る料率で提供しているという。決済を伴わない本人確認の分野は、ユーザー数や認証回数を基準に算出する。
 今後の展開について保科氏は、ハウステンボスのような事例を着実に積み重ねると同時に、“大規模対応+高速認証”の特性を生かした分野を開拓していきたいと話す。
「例えば、銀行とのアライアンスでは、指紋認証と銀行口座を結びつければ、口座直結の決済も提供可能です。もう少し広く社会を見ると、高齢化社会において視力や指先の細かな動きが衰えた人たちのために、指紋で認証できる仕組みを作っておけば、病院や金融機関などにおける本人確認手続きは刷新できるはずです」
 同社の技術は、総務省が進めている認証技術関連のプロジェクトにおいて、「1,000万人の利用者がいる環境で5秒以内の本人特定」を目標に掲げた実証実験にも採り上げられた。プロジェクトの先には、マイナンバーカードの置き換えまでも視野に入れているという。

 

 

(CardWave 2015年11・12月号掲載)

 

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