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2015.07.09

【特集】ブランドデビット普及のカギ~三菱東京UFJ銀行編~(2014年3・4月号)

 

リテール強化戦略の一環として投入
国際ブランドによる環境整備も追い風に

 


三菱東京UFJ 銀行は、2013年11月に「三菱東京UFJ-VISAデビット」の発行を始めた。メガバンクの雄である同行がブランドデビットに参入した背景には、少子化の影響もあり若年層の口座保有者が減少していく中で、リテール(個人を中心とした小口金融業務)の充実と競争力強化があった。さらには、Visaが打ち出している「ライアビリティシフト(債務責任の移行)」などの影響で、デビットを展開する環境が少しずつ整備されてきた点もあるようだ。

 

「三菱東京UFJ-VISA デビット」の券面。色は赤、黒、白ベースから選べる。有効期限は5年間。クレジットカードと同様、ショッピング 保険、不正利用補償の付帯サービスが付く。
「三菱東京UFJ-VISA デビット」の券面。色は赤、黒、白ベースから選べる。有効期限は5年間。クレジットカードと同様、ショッピング保険、不正利用補償の付帯サービスが付く。

 

キャッシュカードとは分離 還元は自動キャッシュバック

三菱東京UFJ 銀行 リテール事業部 コンシューマーファイナンスグループ  調査役 谷島秀一氏
三菱東京UFJ 銀行
リテール事業部
コンシューマーファイナンスグループ
調査役 谷島秀一氏

 「三菱東京UFJ-VISA デビット」は、同行に普通口座を持つ15歳以上の個人が発行対象。年会費は初年度無料、2年目以降は1,080円だが、15歳から23歳までは無料と、若年層を重視した商品設計になっている(24歳以降も年間10万円以上の利用で翌年無料)。
 Visa 盟店でのショッピングと海外の「Visa」「PLUS」マークが付いたATMから、現地通貨での預金引出しができる基本機能は、他行のVisa デビットと同様だ。
 このカードのユニークな点としては、キャッシュカードとの分離が挙げられる。一般的に、口座直結型のデビットカードはキャッシュカードと一体型で発行されることが多い。あえてデビット専用カードとした理由について、三菱東京UFJ銀行 リテール事業部 コンシューマーファイナンスグループ 調査役 谷島秀一氏は、「一体化すると、券面には当然、口座番号が印字されることになります。そのカードをレジで店員さんへ渡すことに抵抗を感じる方も、少なからずいらっしゃる。われわれは、それをクレジットカード一体型のキャッシュカードで経験しているので、今回は1枚に収める利便性より、心理面、そして買物専用カードという分かりやすさを優先しました」と説明する。
 買物カードとしての特典としては、自動キャッシュバック機能を付帯した。前月のショッピング利用金額に応て、0.2%を決済口座に戻すという仕組みだ(前年利用額や誕生月などの特典で最大0.5%まで拡大)。国内のカードサービスはポイント重視の傾向が強いが、利用者が手続きをしなくとも還元される簡便さ、そして銀行ならではの口座に直結するサービスとして、キャッシュバックを選んだという。

 

リテールビジネスにおけるエントリーカードとして活用

三菱東京UFJ 銀行 リテール事業部 コンシューマーファイナンスグループ 調査役 林 努氏
三菱東京UFJ 銀行
リテール事業部
コンシューマーファイナンスグループ
調査役 林 努氏

同カードの収益源は、ショッピングに使われた際の加盟店手数料と海外ATM 利用時の手数料。前者はクレジットと同等の料率で、イシュアとしてフィーを受け取る。後者は海外ATMは引出手数料が1回あたり108円。もう一つは海外事務手数料で、海外でのショッピング・ATM現地通貨引出での円換算時にVisaが定める為替レートに3.0%が上乗せされる(このほかに一部ATMで、現地の金融機関が定める手数料が付く場合もある)
 デビットカードは金利収入が挙げられないため、個人向け商品としての収益性はもともと高くない。グループには国内最大のカード会社(三菱UFJニコス)があり、同行自身も本体発行形式でクレジットカードを発行している。こうした状況でVisaデビットを加えた理由は、リテールビジネスの強化だ。
 三菱東京UFJ銀行 リテール事業部コンシューマーファイナンスグループ 調査役 林 努氏は、「クレジットカードについても、これまで通り推進することに変わりはありません。デビットカードを追加した理由は、グループ全体のビジネスを見ても、隙間というか、まだ拾いきれていない領域があるからです」と話す。
 一般的な消費者心理として、クレジットカードが抵抗なく使われる金額は3,000円以上で、1,000円以下だと電子マネー決済が多いとされる。Visa デビットはこの間の補完を狙う商品としての性格を持つ。ただ、ここは必ずしも思惑どおりではないようだ。本格展開から日も浅く、分析に十分なデータは集まってはいないが、今のところ決済単価はクレジットに近いという。
 もう一つは、顧客サービスの充実。「ネット銀行やIT事業者など、異業種からの決済市場への参入も続く状況で、銀行が生き残るにはどうすればいいか。やはり、お客様にあった多様な決済手段を提供することが、競争力強化、結果的に全体の収益向上につながります。長期的にはデビットをエントリーカードとして、クレジットやローンなどに親しんでいただく流れができればいいと思っています」(林氏)。

 

デビットでも発生するリスク 共通課題はオーソリなしの課金

 即時払いのVisaデビットは、クレジットに比べて少ないものの、未回収リスクはゼロではない。日本の加盟店における一般的なVisaデビットの決済手順は、加盟店でカードが使われた時点で、まず「利用データ」が端末からイシュアに届き、ここでオーソリ(信用照会)が行われて銀行口座から引き落とされる。そして後日、加盟店から「売上確定データ」が届くという流れだ。
 「利用データ」と「売上確定データ」に注文の変更や為替レートなどで金額差が生じると、追加で引落しや入金を行うが、引落しの際に口座残高を超えてしまうケースがある。この場合、イシュアが一時的に立て替える形で処理するが、未回収のリスクは残る。
 オンライン化されていない加盟店の場合は、リアルタイムでオーソリが飛ばないため、さらに未回収のリスクが大きくなる。また、オンラインの加盟店でも、月額課金のような支払い形態では初回の登録時だけオーソリを飛ばし、翌月以降は「売上確定データ」だけが送られてくるケースも多い。デビットやプリペイドの運用では、これらに該当する商品、サービスへの適用は原則として停止するなどの対応をとってきたが、すべてのVisa加盟店を事前調査するわけにはいかず、残高不足が発生するリスクは残ってしまう。
 銀行口座と直結するデビットの場合、一時的に残高が不足しても、自動的に貸し越すことはできそうだ。収益にもつながるだろう。この点について谷島氏は、「即時払い、残高の範囲内で使う安心感という商品性から、カードローン口座への貸越はできません。デビットの特徴を保ち、利便性を確保するには、オーソリで確認できる環境が広がることを期待したいところです」と話している。

 

「継続型課金」への対応も進む 口座活性化のツールに向けて

 今回、同行がVisaデビットを発行するに当って後押しとなったのが、国際ブランドによる取引ルールの変更だ。
 「2013年8月からVisaの『ライアビリティシフト』のルールが変わり、オーソリを飛ばさない店舗で不正や未回収が発生した場合、債務責任をアクワイアラが負うようになりました。デビットイシュアにとっては、大きなリスクの軽減効果があります」(林氏)
 ライアビリティシフトは、オーソリの徹底やICカードの導入促進による不正の減少を狙った制度。カード決済で不正被害が生じた場合、通常はイシュアが被害額を負担するが、制度適用後はICカードに未対応の端末で生じた負債の補償は、イシュアから加盟店管理を担うアクワイアラに移る。この制度がオーソリの扱いにも及び、オーソリがない状態で発生した損失はアクワイアラが持つことになる。
 ルール改定後、国際ブランドやアクワイアラの取組みも本格化し、適合する加盟店も増えてきた。携帯電話料金の支払に関しても、主要キャリアはすでに対応を終えている。
 「継続型課金の中でも、もっとも規模が大きい携帯電話料金を取り扱えることは、大きなステップになったと思います」(谷島氏)。ここはデビットに取り組む業界全体の課題でもあり、さらなる整備が期待されるところだ。
 こうした動きも追い風に、春に向けて販促に力を入れていく。今のところ募集はWebと店頭。Webは同行に口座を持つ人を対象に募り、店頭は新規客をターゲットに1月14日から本格展開を始めた。
 「14日以降の1 カ月で、Webも含めて5万人の入会がありました。立ち上がりの時期としては予想以上の反響です」(林氏)
 今後の展開として谷島氏は、「もう少し先の話ですが、利用後に配信している明細メールの機能を充実させ、家計簿との連動、あるいは消費アドバイスのような展開も考えられます。デビットは口座の中身を見る機会がクレジットより多いはず。ここからお金に対する意識が高まり、上手な使い方を考えるようになると同時に、口座の活性化に結びついていけばいいと思います」と話している。

 

(CardWave 2014年3・4月号掲載)

 

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