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2015.09.09

【特集】“2020年”へのカードインフラ整備~電通国際情報サービス~(2014年11・12月号)

日仏共同で統合型リゾートでの実証実験
渡航者の動線を1枚のカードで管理

 

電通国際情報サービス(ISID)のイノベーション研究所(イノラボ)は、海外から日本に来るインバウンド客が出国から帰国までに感じるストレスを1枚のカードにより軽減する実証実験をフランスで実施した。対象は、日本からフランスのアンギャンレバン市に渡航する観光客で、出国から帰国までにさまざまな施設で受けるサービスを、実験用ICカードにより施設横断で一元管理する。

 

個人認証や決済など多用途でカードを利用

 2014年11月に実施した実験では、日本からフランスに渡航する実験参加者20名に、FeliCa-Lite Sを採用した実験用ICカードを持たせた。このカードにはETAチップ(本誌P47を参照)が搭載されており、個人認証ID・多言語対応(母国語)・サービスの提供・サービス利用履歴・金額の紐付けなどの機能に対応する。
 実験用ICカードを、一つの目的だけではなく、さまざまな目的に利用できるカードとして、フランスのアンギャンレバン市内のレストラン、スパ、ホテルや公営美術館等、およそ10カ所の施設で支払いや個人認証などに利用するツアー型の実証実験を実施した。
 カードは実験参加者が出国手続きを行う空港で即時発行され、発行時に母国語やパスポート情報、出国当日にCCDカメラで撮った顔写真等の情報を登録する。これにより、例えばホテルでのチェックイン時、登録された顔写真データと本人を見比べることで個人認証が可能になる。
 レストランでは、専用タブレット(Z1端末)にカードをかざすことで、そのカードに登録してある言語(今回は日・仏・英の3カ国語)で電子版メニューを表示させることが可能だ。誰がどの言語で何を注文したかが顔写真データと紐付けて登録され、配膳の際にも簡単に確認できるため、他国語が分からない店員でも、品質を落とすことなく接客サービスを提供できるようになる。
 今回実施されたツアー形式の実証実験では、支払いをフランスのルシアンバリエールグループ傘下のホテルが取りまとめるという試みも行われた。実験用ICカードには、ツアー申込時に登録した支払い用の口座情報や個人のクレジットカード情報が紐付いており、各施設の利用時に専用タブレットにかざすことで、ホテルチェックイン以降に発生したグループ外施設を含む決済を、チェックアウト時にまとめて行うことが可能となる。 

利用時写真

 

言語と両替の問題を1枚のカードで解決

電通国際情報サービス オープンイノベーション研究所 ビジネスデザイン・ラボ 鈴木 淳一氏
電通国際情報サービス
オープンイノベーション研究所
ビジネスデザイン・ラボ
鈴木 淳一氏

 今回の実証実験以前から、イノラボはフランスのバルドワーズ県と共同で実証実験を行ってきており、これが第3弾となる。
 実証実験の第1弾は2013年の11月に行われ、フランス人が来日中の動線で感じる言語および両替の問題を軽減するための試みが実施された。2014年3月には第2弾として、フランスに渡航した高校生(日本人)のライフログに基づく、行動特性や行動意思決定プロセスの解析調査を実施している。
 第1弾の実験では、来日中のフランス人観光客にGPS端末と実験用ICカードを持たせ、旅行中の動線で発生する購買行動などのデータを収集した。
 電通国際情報サービス オープンイノベーション研究所 ビジネスデザイン・ラボの鈴木 淳一氏は「フランスに限らず外国人観光客の多くは、滞在中に現金を利用せずクレジットカードで支払う傾向がある」と解説する。これは、出国時に両替すると為替レートが非常に高く、日本到着後に両替するには申請用紙にサインしなければならないことが、要因の一つと見られている。そのため滞在中の購買活動は、必然的にクレジットカードが利用できる店舗に限定されてしまう。
 また、フランス人の多くは英語を理解しないため、来日後の行動にストレスを感じるケースが多い。例えば、日本の空港に到着し、宿泊予定のホテルに行くバスを探しているフランス人がいるとする。そこでホテル名が英語で書かれたバスを見つけたとしても、それが行き先を表しているのか広告なのか判断できないために、乗車を躊躇してしまうといった具合だ。
 この二つの問題を解決するために、イノラボは大阪の池田泉州銀行と協力して、デジタルサイネージと専用ICカードを用いた実証実験を行った。実験参加者は、出発地であるシャルルドゴール空港でICカードの発行を受け、空港内に設置された専用デジタルサイネージを使って、日本での宿泊ホテルと両替予定の金額(日本円)等を登録する。到着地である関西国際空港内では、池田泉州銀行の外貨両替ショップにデジタルサイネージが設置してあり、そこに実験参加者がカードをかざすことで、登録された情報を行員が閲覧できる。行員は登録情報をもとに、署名なしでスピーディに両替対応を行う。さらに登録情報をもとに、行員が宿泊先ホテル行きのバス乗り場を案内するというサービスも提供し、言語と両替のストレス軽減を図った。
 実験以前、フランス人は地元の土産物店や陶芸体験などをあまり利用しないと思われていた。しかし、この実験で両替の手続きを簡便にし、日本円を持って行動できるようにしたところ、彼らの多くは陶芸体験やお土産購入を積極的に楽しみ、満足したことが分かったという。
 この調査で、現金によりフランス人の購買活動が活発になることを検証したイノラボは、「両替を単なる金融手段ではなく、来日観光客の動線拡張手段の一つとして捉える必要がある」(鈴木氏)としている。
 第2弾では、大阪の高校生をフランスのバルドワーズ県に渡航させ、生体(バイタル)データの観測をしながら人間関係がどのような行動意思決定につながるのかを分析。渡航前のデータも一定期間収集し、普段日本にいる時と海外渡航時の傾向にどのような差異が生じるかも調査した。渡航中は、心拍数や活動量を測定する機材とGPS端末等を持たせた高校生に、実験用に開発したSNSを利用してもらい、つぶやきに対する反応から友人に影響を及ぼす人間関係の行動分析を調査した。
 例えば、フランスに渡航したAさんとBさんがおり、AさんがSNSで「エッフェル塔を訪れた」と書き込むとする。Bさんがそれを見て「いいね!」とアクションを起こした後に自分もエッフェル塔を訪れるのか否かをGPSで観測する。それにより、AさんがBさんに及ぼす人間関係を観測できるという具合だ。また、Aさんの書き込みを見て「いいね!」をしたBさんの心拍や体温から、衝動的に影響力を受ける相手を見つけるなどの分析も実施した。
 イノラボでは、これらの実験結果について今後さらに解析を進めることで、「ターゲット層に直接広告を配信するよりも、その時その場で影響力のある人を介して情報を届けることで、より効果的な送客アプローチが行える」(鈴木氏)といった、新しいエリア・マーケティング手法の確立につながるとしている。

統合IC カードを使った実証実験のスキーム図
統合IC カードを使った実証実験のスキーム図

 

フランスと共同で社会インフラ目指す

 3つの実証実験の結果は現在も解析中で、施設を利用した人の背景にはどのような動機があったのか、デジタルサイネージの読み取り状況や注文した金額とメニューの傾向にはどのような関係性があるのかなど、未だ多くの解析すべき情報が残っているという。また、実験用ICカードを中心としたIT支援がどの程度有効であったのかについても、実験参加者へのヒアリングや、今回実験に協力したルシアンバリエールグループとの意見交換を通じて検証していく。
 鈴木氏は、「今後、日本が外国人観光客をもてなす際の具体的な社会インフラはどうあるべきなのか、実証実験に参加した個人や運営側の意見、フランスの自治体の考えを交えて形にしていきたい」と話している。

 

(CardWave 2014年11・12月号掲載)

 

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