• HOME
  • News
  • 雑誌
  • 書籍・調査リポート
  • セミナー情報
  • 利用ガイド
  • 問い合わせ
  • MY PAGE
無料会員登録

サイト内検索

Now accepting PayPal

モバイル/NFC

一覧一覧

2015.10.21

【特集】「モバイルウォレット」で出来ること~ジェーシービー編~(2014年5・6月号)

 

“決済プラスアルファ”で市場を開拓
モバイル端末に「ポイント交換」も実装

 

JCBwallet


ジェーシービー(JCB)のモバイルウォレットへの取組みは早く、2012年の秋には大日本印刷が運用するモバイルサービス向けのプラットフォームを活用し、JCBの独自技術を組み合わせたシステムの開発に着手。翌年春の社内実験などいくつかのトライアルを経て知見を蓄積し、2014年夏には横浜市の商業施設「トレッサ横浜」 で商用サービスがスタートする。同社のモバイルウォレットには、国際ブランド、イシュア、プロセシング(各種業務受託)事業者など、複数の顔を持つ企業ならではの多面的な展開が見られる。

 

※写真:「モバイルウォレット」として構築している初期画面の例。
サイフの中に、クレジットカード、プリペイド
式電子マネー、ポイントカードなどが収まるイメージ。

 

国内は「送客」を重視 決済機能は環境整備の段階

ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 次長 (WEB ソリューショングループ担当) 山田祐司氏
ジェーシービー
ブランド事業統括部門
ブランドインフラ推進部
次長(WEB ソリューショングループ担当)
山田祐司氏

 モバイルウォレットに対するJCBの定義は、「ペイメント機能を中核としたポイント、クーポンなどを収納する、スマートフォンアプリケーション・サービス」。スマートフォン(スマホ)上に、サイフの代わりになるような新しい決済サービスの集合体を構築していくイメージだ。
 具体的なアプローチは大きく二つの方向があり、一つはポイントやクーポンなどの機能をスマホに集約し、使い勝手を高めていくこと。もう一つは、中途半端に溜まったポイント、クーポンの活用(詳細後述)だ。
 決済サービスの集合体として、ユーザーには利便性と楽しさ、店舗には顧客サービス向上に加えて、送客機能を提供する。モバイルウォレットに対する考え方は国内と海外で少し異なり、日本は送客を重視することが多い。また、FeliCaが浸透した環境では、非接触ICサービスを単にウォレットに移すだけではなく、同等かそれ以上の使いやすさと機能の充実が求められる。
 国内での展開について、ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 次長(WEB ソリューショングループ担当)の山田祐司氏は、「決済に特化したサービスだとカードとの違いが少なく、わざわざモバイルのサービスとして提供してもユーザーに受け入れてもらいにくいかもしれません。店舗の立場から見ると、スマホやNFCに対応するにはインフラ整備の必要があり、送客効果を出せなければ、プラスチックカードで十分ということになるでしょう。つまり、“決済プラスアルファ” をどう打ち出すかが鍵になると考えています」
 モバイルウォレットサービスの“本命” である決済においてはJCBの場合、FeliCa仕様の「QUICPay」※1、TypeA/Bベースの「J/Speedy」※2、あるいはモバイルで2次元コードを読み取り、サイトに接続して決済を行うなどの方式・技術を持つ。
 しかし現状は、対応端末の普及率、店舗インフラの整備などの面で、スマートフォン単体での決済を実践する環境は充分ではない。そのため当面は、決済以外の“プラスアルファ” を優先し、決済機能はウォレットオーナーのニーズに応じて載せていくという。

 

斬新な「共通バリュー」 ポイントサービスの「ハブ」に

ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 部長代理(WEB ソリューショング ループ担当) 古賀康介氏
ジェーシービー
ブランド事業統括部門
ブランドインフラ推進部
部長代理(WEB ソリューショングループ担当)
古賀康介氏

 決済の付加機能では、「CRM」と「ポイント交換」が軸になる。CRMは、クーポンやプッシュ型の情報配信など、スマホアプリの機能を活用した送客サービスの実践だ。
 そして、モバイルウォレットの“目玉”になりそうなのがポイント交換だ。これが冒頭で触れた「中途半端に溜まったポイント、クーポンの活用」で、他社のポイントをJCBの「共通バリュー(仮称)」にいったん交換し、ウォレット決済の利用時に充当できるようにする。
 サービスの位置付けについて、ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 部長代理(WEB ソリューショングループ担当)の古賀康介氏は、「モバイルウォレット向けに開発している機能で、当社のウォレットアプリに搭載していきます。ほかの場所で展開する予定はなく、ポイント交換を行うには、アプリのダウンロードが必須です」と説明する。
 複数の事業者で使える「共通ポイント」のような機能が、モバイル端末に実装されるとしたら、ユーザーへの訴求力は一気に高まるだろう。
 JCB独自のサービスとして開発を進めているが、課題もある。ポイント交換で提携するにはシステム接続を前提としたインフラ開発が必要となり、各事業者とその環境を構築することは容易ではない。また加盟店におけるポイントの目的が自社顧客の囲い込みである場合、交換機能は必ずしも加盟店の利益とは合致しない。
 今後の進め方について山田氏は、「いったん当社で交換機能を構築し、提携先となる方々と相互接続の方法、バリューの交換レートなどの話をしていきたい」としている。

 

夏季商戦に向けてサービスイン 目的は集客と回遊の活性化

 2014年夏に「トレッサ横浜」で始まるサービスでは、まずポイントやハウス電子マネー等、すでに存在する“プラスアルファ” サービスのユーザビリティを高め、マーケットインの発想でモバイルウォレットを開発、2015年度以降を目処に、クレジット、プリペイドなどのブランドサービスとしての決済機能を載せていく。 同施設には、ポイントとハウスプリペイドの機能を持つ「トレッサ・スタイルカード」、これに「QUICPay」を加えた「トレッサ・スタイルカード・プラス」があり、会員数は合わせて約12万人。ウォレットアプリの対象はこの層だ。
 基本機能としては、「バリュー交換」と「クーポン」を用意。前者はプラスチックカードに貯めたポイントを、プリペイドのバリューと交換する機能。今は施設内に7台ほど設置された端末での操作に限られるが、スマホを使うとアプリ上で交換できる。最終的には、スマホへの決済機能の実装を予定しているが、今のところはカードのバリュー交換に限定し、サービスイン時における決済はカードで行う。
 クーポンについては、店頭などに設置した2次元コードをスマホで撮影し、優待情報を取得する。古賀氏がクーポンの狙いについて補足する。
 「カード入会時の属性情報をもとに、どんな人がクーポンを使ったか分かりますから、テナントは顧客分析、CRMを強化できます。また、クーポンとプッシュ配信、位置情報を上手く組み合わせることで、施設内の回遊を促す。たとえば、施設内の他のテナントへ誘導するといった狙いがあります」
 今回のプロジェクトでは、ポイントやクーポン、スマホを使って、集客とユーザーの利便性向上を狙うトレッサ横浜と、CRMを実践しながらウォレットの機能を高めたいJCBの意向が合致した。JCBでは今後、同様のサービスの横展開も考えたいという。

 

「トレッサ横浜」で提供するウォレットアプリ。 当初は、ポイントを電子マネーのバリューに交換する機能とクーポンサービスを実装する。
「トレッサ横浜」で提供するウォレットアプリ。
当初は、ポイントを電子マネーのバリューに交換する機能とクーポンサービスを実装する。

 

主眼はブランドサービス 海外展開も視野に
 決済事業者JCBとしては、モバイルウォレットに対し、各種ペイメントアプリの搭載に加え、ユーザー間でポイントなどのバリューをやり取りする機能も実装していく。
 「これまでの実験では、複数の決済アプリの搭載、さらにウォレット内部でアカウントの管理ができるようにして、ユーザー間で電子マネーなどのバリューを流通させる仕組みもテストしています」(古賀氏)
 端末に載せる「複数の決済アプリ」には、JCBカードのほかにも、他ブランドのサービス(クレジット、プリペイド)も想定している。そしてバリューの移動は、「資金移動業者」※3も視野にいれたサービス提供も今後検討していく。
 ビジネスモデルに関しては、「ブランドサービス」を軸とし、ウォレット自体を大きな収益源にすることは考えていないという。「トレッサ横浜」のような形では、アプリ開発、システム運用などの収益は発生するが、主軸はあくまでもウォレット提供によるペイメントアプリの育成。ゴールはJCBブランドの活性化だ。
 JCBでは今後、「トレッサ横浜」での実践をベースに、汎用的なモバイルウォレットサービスの構築を目指す。またクーポンなどのサービスは海外でも需要が多いため、アジアをはじめ欧米での展開も検討していくという。

 

※1 QUICPay:FeliCa仕様の非接触ICクレジットサービス。FeliCa機能を搭載した国内向けのスマートフォン端末に実装できる。
※2 J/speedy:JCBが開発したNFC仕様の非接触ICクレジットサービス。同様の仕様としてVisaはpayWave、MasterCardがPayPassを提供している。
※3 資金移動業者:2010年4月施行の資金決済法により、それまで銀行に限られていた為替取引が、新たに登録する「資金移動業者」にも認められた。( 1回に付き100万円以下)

 

 

(CardWave 2014年5・6月号掲載)

 

刊行情報

『かくして
 電子マネー革命は
 ソニーから楽天に
 引き継がれた』

電子マネービジネスの立役者でもある著者が、「楽天Edy」の誕生秘話と苦闘の歴史を綴った一冊。 購入ページへ

刊行情報

『電子決済総覧 
 2017-2018』

〈印刷版+デジタル版〉
※通常価格

カード決済市場レポートの決定版!

購入ページへ

刊行情報

『クレジットカード事業の歴史から検証するコア業務とリスクマネジメント』

業務の実践に必要な知識と情報を集約したカードビジネスの実務書 購入ページへ

定期購読

cardwave定期購読
詳細はこちらから